これまでは、奥歯の白い被せ物を保険で入れるにはいくつかの制約があり、すべての歯で白い被せ物を入れることは不可能でした。
今回の改訂で、保険治療でもすべての奥歯に白い被せ物が入れられるようになりました。
※ちなみに色調は天然の歯とは異なる人工的なアイボリー1色のみです。また、詰め物は保険適用されていません。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)という高機能プラスチックです。
主に自動車や航空宇宙などの産業で応用される、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されます。
歯科界では、金属の価格高騰や審美的要求、金属アレルギー対応への要求が高まり、これまで金属代替材料が望まれていました。
そこでPEEKが注目されました。
アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなどの諸外国では、PEEKは歯科材料として販売されていません。
日本でも、保険適用の「1本の大臼歯」での臨床研究は約6ヶ月程度の材料です。
そのため1年以上口腔内に装着し、毎日食事をしたり、タバコを吸ったり、お酒を飲んだり、歯をみがいたりした経過の結果は未知な材料なのです。
・金属アレルギーを持つ患者さんに保険治療における選択肢ができる。
・金属に比べると審美的である。
・割れたり欠けたりはしにくい。一方でたわむため、冠の中でセメント(接着剤)が壊れて冠が外れやすい。
・6ヶ月〜2年で咬耗、摩耗するため、噛み合わせが狂う。低くなる。
・プラスチックなので6ヶ月〜2年で着色・変色する
当院でも今後、PEEK冠を希望される患者さんが増えるであろうと予想しています。
ですが、現時点においてまだまだ臨床データの少ない歯科医療材料であることをご理解いただきたいと思います。