この週間は、歯と口の健康に関する正しい知識を国民に対して普及啓発するとともに、歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図り、併せてその早期発見と早期治療を徹底することにより歯の寿命を延ばし、もって国民の健康の保持増進に寄与することを目的としています。
厚生労働省、文部科学省、日本歯科医師会、日本学校歯科医会が実施している週間です。
というわけで、よく患者さんから聞かれる質問にお答えしたいと思います!
この話題は2012年頃に「食後すぐに歯をみがくと歯が溶けてしまう」というような報道が新聞やテレビで伝えられたことがきっかけです。
その後、「食後30分は歯みがきを控えた方がいい」という説が広まりました。
しかし、これは大きな間違い!
これが虫歯予防の基本です。
食べ物を口に入れると、わずか10分でお口の中は酸性になります。
そこから徐々に歯が溶け出す「脱灰」が始まります。
つまり、20〜30分かけて食事をしている間に、すでに歯は溶け始めているのです。
では、なぜ間違った情報が流布してしまったのでしょうか。
小児歯科医などの専門家が検証したところ、「食後30分は歯みがきを控えた方がいい」という話のもとになった実験は、虫歯ではなく「酸蝕症(さんしょくしょう)」に対するものだったのです。
酸蝕症は「酸が蝕む」と書かれているように、口に入ってきた酸や胃酸などの酸によって歯が溶けるものです。
その主な原因は、炭酸飲料や果汁入り飲料、イオン飲料などです。
テレビでは炭酸飲料に試験片の象牙を浸けて、その後歯みがきの開始時間を違えて、酸がどのくらいの速さで浸透するかを調べていました。
確かにその実験ではすぐに歯みがきをした方が、酸の浸透は速かったのです。
日本小児歯科学会ではこの実験について、実際の口の中ではエナメル質があること、しょっちゅうこうした飲み物を摂取しているのでない限り、酸蝕症は起こりにくいというコメントを出しています。
ただし、大人の場合は年齢を重ねるにつれエナメル質に細かい亀裂が入っていくので、そのため酸の浸透するスピードが速くなり酸蝕症のリスクが増すとも言えるので、「食後30分は歯ブラシをしない」ということが全面的に否定されるものではないということなのです。
「我が家では、子どもたちはごちそうさまをしたら、そのまま歯みがきです。歯みがきをするところまでが食事の流れです。私は子どもたちの歯みがきや食事の後片付けなどをし終えてから歯みがきをするので、30分以上経過していることが多いです。」ということでした!